ハーバード大学公衆衛生大学院の研究者らが、大気汚染と認知症の関連についてメタ分析をしました。 合計で51件の論文を調査し、PM2.5、二酸化窒素、NOxが認知症と関連あるかもしれないと結論づけています。とはいえ、ハザード比は1.02～1.05で有意差もなく、かなり微妙な数値でした。また、研究間の差が大きく（I2=80～95%）、対象のセッティングによるかもしれません。 大気汚染のような事象に対しては、データを積極的に取りにいくアクティブ症例確認と、ケースが報告されるのを受け取るパッシブ症例確認があります。前者の場合には、ハザード比が1.42と高くなりました。 なお、このメタ分析に含まれた研究は、北米 (n = 25)やヨーロッパ (n = 17) の研究が多く、日本のものはありませんでした。

Wilker EH, Osman M, & Weisskopf MG (2023) Ambient air pollution and clinical dementia: systematic review and meta-analysis. BMJ, 381. https://doi.org/10.1136/bmj-2022-071620

同様に、カナダウェスタン大学の研究者らも17件のメタ分析を行いました。こちらも、PM2.5のハザード比が1.03と、ハーバード大の結果と似ています。異質性が高い点も同様です。

Abolhasani E, Hachinski V, Ghazaleh N, Azarpazhooh MR, Mokhber N, & Martin J (2023) Air pollution and incidence of dementia: A systematic review and meta-analysis. Neurology, 100(2), e242-e254.